#4 〈 Aeta × THE LIBRARY 〉 COLLABORATION
「Aeta」と服を作る
今までアリそうでなかったコトやモノをやってみたい。
そう思い、型にはまらない自由な発想と、丁寧な物作りに徹底しているバッグブランド「Aeta」に服を依頼してみてはどうか。
そして同じ素材でバッグもあったら…と思い声をかけさせてもらったところから始まった。
「Aeta」と企画ミーティングを行うと思いの外すぐに企画コンセプトは決まった。
服と鞄、そこに用途における機能を求めたレインアイテムと。
第1段階は撥水素材の検討。
レイン対応の素材を何種類か検討し、撥水コットンの接着見本を試作したり、撥水合成繊維生地に透湿防水フィルムを挟み込んだスリーレイヤーなどの機能系素材について検討した結果、ポリエステルナイロンのタフタ素材を専用の特殊な高圧力釜でガーメントダイ(製品染め)したもので筒状の見本を作成。そこに撥水加工を施し機能を持たせた。
(通常のガーメントダイでは合成繊維を染めるのは染色性が良くないため、今回は専門の染色工場で依頼することで更に撥水加工も可能になった)
ボンディング試作生地
筒見本
空気をはらんだような独特なハリ感のある生地の風合いが、撥水機能がありながらも体と服との間に空気の層ができ、ムレ感のないストレスフリーなレインコートになるのではないか。また、この筒状の見本をバッグに見立て、机の上に立ててみると新しい佇まいのバッグになるのではないか、などと試行錯誤。
次の段階はデザインの検討。
フードコートのデザインは、床に置くとフラットになる平面構造は「Aeta」ならではの潔さと構造を兼ね備えている。アームホールや肩の傾斜も無く直線を採用した着物の様な構造。シルエットはゆったりとしたボクシーなサイズ感とロング丈。ゆったりとしたサイズ感のフラットなパターン構造は敢えて身体に沿わないからこそ、誰でも着られる対応力があり、つまりは誰もが似合う。
ユニセックスアイテムを提供するTHE LIBRARYにはぴったりのパターン。
コート袖付け
コート前立て
レイヤードしてもコートと体の間に空気の層ができるオーバーサイズは自然と服の中の湿度が籠らない。
レインコートは敢えて止水ファスナーなどの防水パーツを使用せず、前立てが左右に付く2段階構造の防水、防風仕様。フードはシンプルな2枚構造の実用性のあるサイズ感。袖口は、テープとボタンでアジャストできる仕組みにした。
ユニセックスアイテムでのサイズ展開で重要な問題はグレーディング。各サイズのピッチ調整だ。今回はイレギュラーのサイジングに拘り、身幅、肩幅は通常よりも大きいサイズピッチに。そうすることで、着る人の好みによって着用シルエットを選べる利点がある。問題は女性用Sサイズ。骨格が男性と根本的に異なるため、大幅に着丈と裄丈を短く、伴って袖口までの袖下の傾斜なども細かく調整を行うが、全体のバランスを崩さない様に整える。メンズのXLからウィメンズのSまで網羅するサイズ展開が完成した。
シンプルなショルダーバッグの完成。
バッグの型は、筒見本を立たせた時のオブジェのような佇まいからシンプルなワンショルダー形が連想された。デニムやナイロン生地で今まで作られてきたショルダーバッグの形が持つ二重構造が、生地の空気をはらんだ様なハリ感とガーメントダイによる独特な風合いとマッチし、今までと異なった印象になった。使う用途に合わせて選べるようにサイズは大きいものと小さいものと2型の展開。
ところが、製品化の過程ではバッグもコートもガーメントダイによる縮率が大きく、縮率をパターンで調整したり、何度も縫製仕様の試作を行ったが調整が難しく、最終的には縫製後のガーメントダイ(製品染め)と生地染めを同じ釜で行い、縫製工程を染色前に行うパーツと染色後に行うパーツを二分する複雑な工程を選択した。
バッグの縫い目ビス
パーツ見本ハンドル縮み部分
バッグの中
こうした度重なる打ち合わせと試行錯誤によって
男女で着られるユニセックスのレインアイテムとして
初の「Aeta」の服と、新しい佇まいの鞄が誕生した。
〈 Aeta × THE LIBRARY 〉
COLLABORATION
1.25 fri. - 2.3 sun.
各店鋪・オンラインストアにて開催。
アイテムはこちら